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エクセレントジャイアントパンダメンDXPB20PLLグレートジャンボゴリラエルボルゴリアリィサンタマリアさーん!! -- (パンダ) 2010-07-02 19 40 15
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ぼくもいにます(@=@)Zzzzzz -- (エクセレントジャイアントパンダメンDXPB20PLLグレートジャンボゴリラエルボルゴリアリィサンタマリア) 2010-07-01 23 15 25
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「名人は何時でも 君の挑戦を待っているぞ!!」 【名前】 名人 【読み方】 めいじん 【分類】 登場人物 【所有ナビ】 ゲーム ゲートマン/パンク/ケンドーマン/フットマンアニメ 不明 【所属】 ゲーム 光研究所アニメ 不明 【登場作品】 ゲーム 『2』『3 BLACK』『4』『5』『6』アニメ 全作品劇場版 『光と闇の遺産』 【CV】 藤原 啓治 詳細 ネットバトル69連勝の記録を持つ伝説のオペレーター。本名は不明。 エグゼシリーズでも僅か2人しか居ない(*1)、複数のネットナビを所有する人物。 登場する度に持ちナビが変わり、それに合わせて衣装も少しずつ変わっている(*2)。 ゲーム版 『2』 初登場作品。持ちナビはゲートマン。 光研究所から派遣され、オフィシャルセンターでフリー対戦を受け付けている。 勝てばHPメモリや2つ目のフォルダといった有用なアイテムを貰える上に、ゲートマンのナビチップは非常に強力なP.Aの材料になる。戦えるようになり次第、是非挑戦しに行こう。 この時はゲートマンと同じデザインのマスクを身に着けている。 『3』 『BLACK』にのみ登場。持ちナビはパンク。 『通常版』では同じ場所に名人見習いが居て、アドバイスは貰えるが対戦は出来ない。 優秀なネットバトラーを育てるという使命を帯びており、よかよか村でネットバトラー達に向けてアドバイスやチップのコマンドの伝授をしたり、ネットバトルの挑戦を受け付けている。 おいそれと戦場に出られない自らの立場にもどかしさを感じているのか、 WWWの悪行に対して後手にまわり続けるオフィシャルを連中呼ばわりするという一面も。 また、彼とお揃いのリストバンドをナンバートレーダーから入手可能で、これを所持するとパンク(チップ)の性能が変化する。詳しくは項目を参照。 『4』 レッドサントーナメント/ブルームーントーナメントの選手の一人として登場。持ちナビはケンドーマン。 他のゲーム作品では脇役として出演している名人が、唯一シナリオに関わってくる(可能性がある)作品である。 日本人でありながらアッフリク代表として出場している。 ネットバトラーを鍛える為に世界中を飛び回っている中、訪れたアッフリクの人達に気に入られてしまい、 実力を見せる為に予選に出たらそのまま予選突破してしまったそうだ。 作中では過去に名人が破門したネットバトラーが、名人への復讐の為にライオンぞうの電脳から電波を流し、ライオンを操って人質を取る事件が起きた。 犯人には事件解決後に問答無用で鉄拳制裁を加えており、一度破門した人間に情けをかける事は無い。尤も、犯人は人質を盾に名人に暴行を加えるような人物なので、同情の余地も無いのだが。 ちなみに、この作品で「複数のナビを持っていて、任務に合わせて連れていくナビを変えている」という事が明かされた。 今回は若いオペレーターの育成の為、厳しい指導員ナビとしてケンドーマンが選ばれたらしい。 『5』 オラン島の廃坑に居る。持ちナビはフットマン。 ネビュラ対策用にフットマンを開発したが、思うように言うことを聞かない為上手くオペレート出来るよう隠れて特訓していたとの事。 『6』 ストーリーが後半に差し掛かるとアスタランドに現れる。 この作品ではネットバトルは出来ないが、代わりにバトルチップを売ってくれる。ラインナップはアンインストールやエレメントラップ等、通信対戦向けのものが中心。 改造カードで追加される依頼の中には名人が依頼主となる物があり、名人の依頼を受けている間はバトルチップの購入は出来ない。 改造カード 『6』では改造カード「名人の超絶カスタマイズ」の絵柄としても登場。 超絶の名に恥じず、使用するとカスタム+3、メガフォルダ+2。ギガフォルダ+2、ファーストドリームオーラが備わる。 アニメ版 熱斗「名人さん!ディメンショナルエリアを!」 名人「"さん"はァ!要らないッ!!」 熱斗達のピンチに現れる謎の人物。 ナビを持っている描写は無いが、科学省で各種システムを開発したり、ネット警察に赴き解析を担当したり、見事なドライビングテクニックを見せたりと多才な能力を持つ。 光祐一朗が不在の時は彼に代わって指揮を執る事もある。 謎の人物と言うのは比喩でも何でもなく、重要施設を普通に出入り出来る程の立場なのに素性も所属もよくわからない。 『Stream』第28話でメイルにその事を聞かれた時も思い切りはぐらかしていた。 ロックマンと並び熱斗に一般常識や作品用語を解説するシーンも多く、特に『Stream』第15話でのデータの圧縮についての解説は、印象に残っている人も多いだろう。 『Stream』第11話では、食玩のオマケフィギュア集めが趣味という意外な一面も見せている。 大人の財力に任せて熱斗の前で箱買いをしていたが また、『BEAST』第3話「コピーロイド」では何と「真琴」という科学者の元彼女がいることが判明する。 この話で襲って来た相手が、よりにもよってゲーム版の持ちナビであるパンクなのは一体何の因果だろうか。 上記の通り、熱斗やメイルから「名人さん」と呼ばれて「"さん"はいらない!」と返すのがお決まり。 気をよくしていた熱斗に一度だけ「名人"ちゃん"」と言われた事があり、当然名人は困惑していた。 ちなみに元カノの真琴からは「名人くん」と呼ばれているが、特に返し言葉は発しなかった。 劇場版『光と闇の遺産』でも登場。 ネビュラグレイ討伐に向かう熱斗達ネットセイバーの背中を押し、戦いに備えてディメンショナルジェネレーターの点検を科学省のスタッフ達に指示した。 余談 キャラクターのモデルは、エグゼシリーズのシナリオ担当にして名人である「江口名人」こと江口 正和氏。 『エグゼ』の企画が立ち上がって間も無い頃、CAPCOMのゴールデンウィーク企画のメンバー選考中に江口氏に声が掛かった。 当時新入社員だった江口氏は「行きます」としか言えず、そのまま名人役に抜擢されてしまったとの事。 なお、最初は「江口博士」だったが、「コロコロ読者達は絶対に強い人の方が憧れる」という事で名人になったそうな。 ちなみに「実在の人物が劇中にも登場して主人公の手助けをする」というのは、コロコロのホビー作品だとよく見かける展開ではある。 【他言語版での名称】 言語 名前 英語 Mr. Famous 中国語 簡体字 名人 繁体字 名人
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エクセレントジャイアントパンダメンDXPB2OPLLグレートジャンボゴリラ先生が入室されました。 -- (エクセレントジャイアントパンダメンDXPB2OPLLグレートジャンボゴリラ先生) 2010-07-01 22 51 23
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コンボ ・通常コンボ ●2A>2B>A突進 2Aからのコンボ。 ●2B>2A>Cリヴィー(突進)>ケンティ(旗) >エグランテリア(超突進) 小技が必要な時に。 ●2C>Cリヴィー(突進)>ケンティ(旗) >エグランテリア(超突進) 立ち回りで2C確認から。 ●立ちB>2D>Cで落して着地攻め >Cローゼ(昇竜) >各種超必殺 画面端限定。 ●近立ちC>Cローゼ(昇竜) 隙はあるけど画面中央でゲージがない、そんな時に。 ●立ちD>目押し2C>Cリヴィー(突進) 密着時+キャラ限(?) ●リリー(急降下)>Cで落して着地攻め >Cローゼ(昇竜) リリーでの奇襲が決まった時に。 ●ガチドラ JC JD Cローゼ(昇竜) 上段ガチドラ。J技を出す時は前にジャンプ。 ●屈A→屈B→エグランテリア ・シャル・ウィ・ダンス? ワトソンには下記のコンボは入らない (理由:ダンス後に斜め上に飛んでいくから地上にいないため) ●ダンス>ステップ近立ちC>…… 中央用。 ●ダンス>ステップ立ちB>2D>…… 画面端用。 ●ダンス>2C>Cリヴィー(突進) ダンスからの安定追撃、場所はどこでも ●ダンス>ステップ立ちD>目押し2C >Cリヴィー(突進)>ケンティ(旗) キャラ限(?)セドリック・フェイス・ウルス確認 ・ブルーミィバード ・鳩による追撃回数 ●二回 各種A ●三回 各種B Aリヴィー 各種リリー エグランテリア ●四回 各種C 6B Aローゼ Cリヴィー ケンティフォリア ●五回 各種D Cローゼ ・鳩追撃による限定コンボ ●6B>目押し遠立ちC しゃがみヒットの場合、遠立ちC後の鳩が当たらないマルコがいる模様 名前 コメント
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エクセレントジャイアントパンダメンDXPB20PLLグレートジャンボゴリラエルボルゴリアリィサンタマリアがもろこしヘッド又三郎くんうんちるモードの呪文「禿げろ」によりトゥルットゥルになってしまった。もろこしヘッド又三郎くんうんちるモードのLvが578upした。てれれってってってーん -- (パンダ) 2010-07-01 23 09 52
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少なくとも彼が自分の中で自覚している名前と、この狭い世界の中に存在する者達によって呼称される名称とには若干の違いがある。 自覚する名前を呼ばれなくなってからどれくらいの月日が経ったのか。それを数えるのを酷く面倒に思う。 けれど今まさに自分自身がしている”意味のない”行動と同じように、彼は一生懸命にそれを思い出してみた。そうだ、もう一年になる―― 「トリッガーよ」 トリッガー。ロックマン・トリッガー。そう呼ばれるのは懐かしい。けれどまだメモリが馴染みきっていないのか、それとももう自分という存在が決してロックマン・トリッガーに戻ることは出来ないのか。 微かな違和感に晒されるロック・ヴォルナット――それが彼の自覚する名前だ――は、手に持っていたトレイを片付けながら返事をした。 「何ですか、セラさん?」 振り返ると褐色の肌の少女が腕組みをして立っていた。緑色のツインテールがなんとも印象強い。 彼女の名前はマザー・セラ。ロック・ヴォルナット達が今こうして暮らしているヘブンの元守護者だ。 今は分け合ってもう一人のマザーであるユーナの端末を利用している。そのせいで初めは何度も呼び間違えそうになったものだ。 「私の疑問に答えよ。よいな?」 「は、はぁ」 この一年でロックは人の印象とは外見のタイプよりも寧ろ性格に依存するものだと学んだ。 その理由の一つは、本来陽気な表情を浮かべることの多いユーナの端末を使うセラが、相変わらずの取っつきにくさのプレッシャーを放っている事実であること。 「そなたは何故この地においてもそのような行いをするのだ?ここはヘブン。一切の苦しみなどない世界だというのに」 「ええっと、それは・・」 どう上手く説明したものかと面食らうロックの言葉に被せるように、もう一つの理由となる者が口を挟んできた。 この一年嫌というほど聞いた声だ。何しろこの広い世界の中で、真面なコミュニケーションが出来る存在は目の前にいるセラと彼女しかいない。聞き飽きるのも無理はない話だろう。 「甘いわよ、セラちゃん。それにそんな風に詰め寄ったら、答えられるものも答えられないじゃない。ね、トリッガー?あー・・ロック君の方がいいんだっけ?」 ショートの金髪を揺らす妙齢の女性の名はユーナ。少なくとも、ロックとセラは今現在の彼女をそう呼称している。 彼女の本当の名前はマチルダ・キャスケット。今はとある事情からマザー・ユーナがその肉体を借り受けているため、事実上彼女がユーナということになり、 そのユーナの元の肉体を使用しているのがもう一人のマザーであるセラ。事情を知らぬ者が聞けばややこしい話であるが、とにかく口を挟んできたのはユーナその人だった。 「いえ、お好きな方で呼んでもらって結構ですんで」 「お主の云うことは理解出来ん。トリッガー、そなたの行動もだ。このヘブンの地で、何故に食事などという生命活動に関わる行動をしなければならぬのだ?」 「ふー、全く。やっと最近笑うようになったと思ったら、そんなこともわからないままだったの?」 「わからぬから尋ねている」 予想通りのセラの反応に、ユーナは大袈裟に片手を上げた。やれやれなんて口で云っているけれど、その表情はどこか楽しげで、同時に何かを懐かしむような、ほんの少しの陰りがあった。 一体いつから持っていたのだろう。もしかしたらずっと片手に持っていたのに、ロックが気付かないだけだったのかもしれない。 さっきロックが下げたばかりのものと同じトレイを片付けるユーナは、一つロックに目配せをしながら続けた。 「確かにあなたの云うとおり、このヘブンにおいて食事っていう行動はしなくていいものかもしれない。それこそ食べなくても、眠らなくても、いつでも、いつまでも望む快楽を追求することが出来る世界だわ。 でもねセラ。マスターが望んだものは何だったか覚えてる?ヘブンのような満たされた世界じゃない。不完全な世界だからこそ、そこで燃える命が美しく見えるのよ」 「それとヘブンでの食事にどのような関係が」 「後はロック君の口から説明してもらいましょうね。さ、ロック君」 「えっ、僕がですか?」 抗議をするがユーナは取り合わない。そんなことはここ暫くの時間で散々思い知ったことだった。 マスターの意思を継ぐのはあなただからよ。そんな風に云われると、これ以上抗議することも出来ない。 「その・・確かに食べる必要はないし、眠る必要はないのかもしれません。でもそんなことを続けていたら、きっと僕は自分が生きてるってことを忘れてしまいそうだから。 ヘブンにいても地球に暮らす人々と同じ時間を歩んでるんだってことを実感したいから・・です」 ヘブンでの食事は正直な話、地球でのそれと比べると何となく物足りない。空腹にならないことが決め手なのかもしれないが、 元々ヘブンにおける食事とは嗜好品の一種でしかなく、生き残ったシステムが用意してくれる食事もバリエーションが少なく、味もお世辞にも地球のそれより上回っているとは云えなかった。 それでもロックが毎日食事をし、睡眠を取り、地球での生活と同じようにこの一年を過ごしてきたのは、もちろんマスターの意思を継ぎ、それに同調したということもあるだろう。 しかしそれ以上にロックの根底に根ざしているのは、地球に待つ人々を思う気持ちだった。あの星に住む皆と同じ時間に食事をして、同じ時間に眠り、同じ時間に起きたら、 遠く離れていても一緒に生活をしているような、そんな気分になれる。 「生きることの実感・・か」 「そうだ。良かったらセラちゃんも一度食べてみたらいいじゃない。お腹が空かないのがちょっと残念だけど、案外はまるかもよ?」 「・・少し考えてみることにしよう」 ぽんぽんと肩を叩いてくるユーナに、セラは苦笑混じりにそう答えてお茶を濁す。最近セラはこうしてよく笑う。 そのほとんどがユーナに対する苦笑だとか、呆れを含んだ笑みばかりだけれど、ロックの・・特にトリッガーとしての記憶に残る彼女と比較すると驚く程の変化だ。 結局セラはしつこくまとわりついてくるユーナを鬱陶しげに払うと、すたすたとどこかへ行ってしまった。 セラはいつもあんな感じだ。どこで何をしているのかロックには皆目見当も付かないが、彼女はいつでも忙しそうにしている。古き神々・・という奴だろうか。 「あらあら。ごめんねー、ロック君。セラちゃんも悪気はないんだけど」 「いえ。セラさんの云うこともわかりますから」 「本当、トリッガーにしろロック君にしろ、相手を立てるのが上手いんだから。それじゃま、私はまだ調べることとかあるから、また夕食の席でね」 「はい。また後で」 云いたいことだけを云いきって、ユーナは去っていく。外見上はロックよりもずっと年上の女性なのに、中身がユーナなせいでまるで同年代と話しているみたいだ。 それでいてしっかりと肉体的には大人の女性なものだから、ふとした瞬間にドキリともさせられるのも困りものだ。 無論それに気が付いているユーナがロックをからかう為に仕掛けてくることなのだが、生憎マチルダ・キャスケットの肉体が相手ではガッツポーズを決めるだけの余裕もない。 「まぁ、退屈しないことは救いだと思うけど」 そう独りごちるロックは居住区の一室から出ると、七色のゲートを通って中央に位置する島へと渡った。 かつてロックマン・トリッガーとしての自分が頻繁に出入りしていた場所。そして最後の人類であるマスターが永いときを過ごした場所。 この一年間、ロックが毎日のように足を運んでいる場所だった。 ――人類再生プログラム。かつて存在していた人類が、いつの日か地球の環境が回復した際、復活する為に用意されたシステムの名称だ。 現在地球に住む人々――今は『デコイ』と呼ばれている――は旧人類が自らの眠る間、地球に住まわせておく為に創り出した人工の存在だ。 その存在理由は地球環境の浄化状況を逐一確認する為のものなのか、それとも自らが眠る一瞬でさえ、地球の王たる存在が人間でなければならないという旧人類の傲慢さ故のものだったのか。 それはロック・ヴォルナットにはわからない。トリッガーならその詳細な意味を知っていたのかもしれない。それでもトリッガーとしての記憶を取り戻しきってはいないロックには、未だもってあずかり知らぬものだった。 ヘブンに残された最後の人類・マスターと呼ばれる者がデコイ達に興味を持ち始めたのはいつの頃からだっただろう。やはりその始まりの瞬間を思い出すことは出来ない。 けれどマスターがデコイ達の姿を楽しそうに見詰める時、トリッガーとしての自分は常に傍にいたことは覚えている。懐かしむような、それでいて羨むような。楽しげで、しかし悲しげな瞳をしていたことも覚えている。 一体どれくらいの時間をそうして過ごしただろう。本当に必要な記憶だけをバックアックしていた為か、トリッガーとして思い出すことの出来る記憶はマスターと共に過ごした時間が殆どだ。 とにかく長い時間だったように思う。恐らく、ロックとして行きた時間と同じかそれ以上の時を、マスターと共にデコイ達を見て過ごした。 人が悩む時間としては長すぎたくらいだっただろう。けれど今考えれば、マスターはデコイ達を観察し始めたその時から決心していたように思う。 マスターの願いを聞き届け、トリッガーとしてのロックは彼を連れて地上へと降りた。ヘブンを離れては生きてはいけない身体だと知っていたのに、下界へと降りたマスターの顔は満足げだった。 システムを破壊して欲しいと頼まれたのはその時の事だ。旧人類の傲慢さ、愚かしさ。完全無欠とまでいわれたヘブンでは決して手に入れることの出来ない、デコイ達にとっての当たり前の幸せ。 マスターにはそれがとても眩しいもののように思えたのだろう。結局トリッガーとしてのロックはシステムの破壊を阻止する為に立ちはだかったセラとの闘いで瀕死の重傷を負い、 積み重ねられた記憶と引き替えに肉体のリセットを行い、ロック・ヴォルナットとして生きることになったのだが。 赤ん坊にまで戻されたトリッガーはデコイに拾われ、デコイとして育てられた。 そしてつい二年ちょっと前まで、自分はロック・ヴォルナットでしかないと何の疑問も持たずに育ってきた。カトルオックス島でロックマン・ジュノと名乗る者と出逢うまでは。 しかし、とロックは思う。トリッガーとしての記憶、ロックとしての記憶を統合した今だからこそ理解することが出来る。マスターの考えが。マスターが何故システムの破壊を願ったのか。 もちろんトリッガーとしてもマスターの考えは理解しているつもりだった。しかし、今思えば実感していたかと云われれば嘘になる。マスターがそう云うから、マスターがそう願うから。そんな気持ちが心の奥底にあったのだ。 ロックとしての自分は違う。一年前の闘いでセラが人類再生プログラムを始動させようとした時。ユーナによって記憶の再構成を行われた時。ロックの気持ちは最初から決まっていた。 マスターの願いだから。かつての自分がその為に動いていたから。それもあるだろう。しかしそれ以上にロックとしての自分は確固たる思いでセラと対峙した。デコイ達を滅亡させるなんて、間違っている。 いやもしかしたらデコイそのものの為でも、旧人類に対する諦めでもなかったのかもしれない。ただ単にロックは大切な人々を失いたくなかっただけだった。 赤ん坊のロックを拾い、育ててくれた人。子供の頃からずっと一緒に育った子。何度も何度も小競り合いを繰り返している内に、腐れ縁のようになってしまった空族と、その家族。旅の中で出逢った人々。 全世界の人々の為なんて、そんな大規模なことを考えられるだけの力は単なるディグアウターに過ぎないロック・ヴォルナットにはなかったのかもしれない。 けれど身近な世界の為だからこそ、ロックは闘うことが出来たのだ。トリッガーとしては勝つことが出来なかった、マザー・セラを相手に。 最もその闘いが原因で地球へ帰る術を失ったロックは、セラとユーナと三人でヘブンに残る羽目になってしまったのだが。 「さて、と」 手慣れた手つきでロックはかつてマスターが使用していたシステムを起動した。一年前に通った時は壊れていて動かなかったものだが、半年かけてようやく修理して使えるようにしたのだ。 完全無欠と呼ばれるヘブンでの生活は、はっきりいって退屈だ。もちろんユーナと接していれば退屈な時間などないのだが、それにも限界がある。 毎日食事をしたり、睡眠を取ったり、ディグアウターとしての勘を失わない為の運動も続けているが、退屈なものは退屈だ。 そんなロックがこの半年間、唯一趣味と呼べるようになったものがこれだった。マスターの使っていた部屋に残されたシステムを使い、地球を観察することだ。 上手く操作すれば地球を遠目に見るだけでなく、地表のズームも、人間一人一人の表情がわかるくらいまで接近することが出来るのもわかってはいるのだが、 残念ながら操作方法がわからない。トリッガーとしての記憶にも操作方法は残されていないから、きっとマスターが個人的に構築したシステムなのだろう。 瑠璃色の地球は美しかった。セラに云わせれば毎日代わり映えのない惑星を見詰め続けて何が楽しいのかわからない、ということだが、ロックには充分過ぎるほどの退屈しのぎだ。 始めは確かに代わり映えしないように思えた地球だが、最近ではちょっとした変化にも気が付くようになってきている。今日はあの島は曇りだな、とか、あの大陸はかつて冒険したあの場所だ、とか。 そこに息づく人々と同じ時を過ごしているみたいで、何だか嬉しくなってくるのだ。それがたまらなく楽しくて、ロックは毎日地球を見ている。 ――本当はあの星から飛び出して、こっちに向かってくるものが見える日が来るのを待ち望んでいるのだけれど。 「はぁ・・・」 それを意識するとなんだか溜息が出てくる。折角心の隅に追いやっていたものが戻ってきてしまった。最近は一週間に一度くらいの頻度でこういうことになる。 とはいえ発散する方法もないので、努めて普通の生活をする他に道はない。そうしている間に、このとっかかりがまた心の隅に移動するのを待つのだ。 今日とて同じことだ。ただひたすら時間が過ぎるのを待って、心が軽くなるのを待つしかない。今日とて同じことだ。 しかし、今日はこの半年間一度も経験したことのない事柄が起きた。突然鼓膜を震わせた警告音に、思わず身体がビクンと跳ねる。 次々に鳴り響くアラーム。さっきまで地球が映し出されていたスクリーンを埋め尽くす異常報告の文字列。口々に状況を報告する電子音声が、頭の中をぐちゃぐちゃと掻き回す。 「何だ・・!?」 予想だにしなかった事態にロックは思わず声を上げた。だがトリッガーとしての記憶がそうさせるのか、身体は勝手にキーボードを叩いて状況把握に勤しんでいた。 一年前の闘いで様々な場所にシステムの不備が発生してしまっているせいで細かな状況まではわからない。そのくせ警告音や情報に不備のあるメッセージばかりが表出するので最悪だ。 とにかく一等粛正官の権限を行使してそれらを黙らせたロックは、それらの警告が指し示す場所を特定することに成功した。 「シャトルベイに問題?くそっ、出動するリーバードの数がとんでもないことに・・!」 問題解決の為に差し向けられたリーバードの数はとんでもない数値を示していた。システムの不備が原因なのか、それとも発生しか問題が原因なのか。 とにかくこのままでは大変なことになる。ディフェンスエリアのリーバードが総出動するような状況になれば、最悪はこの居住区にまでリーバードが溢れかえってしまう。 「ユーナさんは相変わらずマザー認定されないし、セラさんは本調子じゃない。ここからの操作は受け付けないし・・。やっぱり直接行って原因を取り除くしかないか」 どちらにせよここからシャトルベイの詳細な状況が確認出来ない以上、直接出向く他はない。 すぐに決意したロックはマスタールームを飛び出した。ゲートを幾つか超え、いつも使っている居住区の一室に飛び込むようにして入る。 そしてずっとしまったままにしていたアーマーを身に着けた。ゆうに一年ぶりのアーマーだが、身に着けた瞬間にブランクなどすぐに忘れた。 シャトルベイに向かう。本当なら居住区から直通でシャトルベイに移動するエレベータがあるが、生憎とディフレクターをシステムの復旧の足しにしたので今は動かない。 やはりディフェンスエリアを抜けるしか方法はないだろう。ロックは気を引き締め、バスターの奥でギュッと拳を握り締めた。 「Mission Start!」 鳴らない通信機の代わりに、ロックは初めてその言葉を口にした。 後編へ
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81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/06(金) 02 47 00.39 ID QKVImtFz0 ――北極。 流氷がところ狭しと並ぶ、北極の海。 エックスを含むイレギュラーハンターの精鋭が、機種の違うハチ型のヘリに揺られ海上を突き進む。 「表体感覚は無いが、見てるだけで寒そうな光景だ……」 ヘリ内のハンターの一人がボディを震わせ、ぽつりと言った。 「第13極地部隊か……この悪条件で戦い続ける奴等だ。相当な腕なんだろうな」 右隣のハンターが、感慨深げに呟く。 ヘリに搭乗しているハンターはパイロットを除き7名。 エックスは無感情にハンター等を眺める、弧を描く視線が最後の一人とぶつかった。 報告してきた少女だ。 視線が合った瞬間少女は、すぐさま逸らす。少女の表情には、疲れと居たたまれなさが浮かび、冷たい北極の光景がそれを映えさせた。 「到着まで、2分」 電子音を声色とするパイロットの警告が、待機スペースに鳴り響く。 その声に触発されたハンター達は身を引き締め、これから起こるであろう戦闘に心を向けた。 エックスだけは、違った意味での決意に表情が歪む。 「アイちゃん……大丈夫だよね」 「――あなたが大丈夫ですか?」 他のハンターは聞こえなかったようだが、少女は聞きとがめたらしく、険しい表情でエックスを睨んだ。 エックスはそれを無視し、外へと、極地基地に居るであろう仲間に思いを巡らす。 「到着まで、一分。各自、降下準備」 ハンター、少女、そしてエックス。 パイロットだけがなんの感情も思惑も無く、淡々と告げた。 ハチ型ヘリはイレギュラーの基地、極地基地の上空に迫る。 「――スタンバイ」 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/06(金) 03 27 00.27 ID QKVImtFz0 エックスが降り立つ予定である極地基地。 そのドーム中央に、一つの私室が築きあげらていた。 「む……む……駄目だ、これ」 質素なその部屋で、小柄な少女が正面に鎮座する氷と格闘している。 「やっぱり……難しい……もっと良い氷……どっかにないかな……」 世界樹を模した氷の陶芸を眺め、少女が首を振って嘆息した。 ドームの天窓から差す陽光が、少女の白い面と樹を模した氷を照らす。 「ユグドラシル……我が手に……失敗……残念だな」 傍目から見れば、非の打つところが無い芸術の塊に見えるのだが、少女はお気に召さなかったらしい。 「へんしーん……ペンギン……ボディ……」 少女は、これもまた小さな腕を後頭部にかけ、メットを引き下ろした。 ペンギン型の頭部。彼女こそが元第13極地部隊の特A級ハンター、アイシー・ペンギーゴ。 「ショットガン……アイス……ババんと……」 メットに生えた嘴が、ペンギーゴの声に呼応して開かれる。 圧縮する空気の音。――嘴の中には、銃口ととれるものが備えられていた。 銃口は、今しがたまで作成されいた世界樹に―― 巨大な氷の芸術は、不思議な射出音と同時にバラバラとなって砕けた。 「芸術は……爆発……。火は……嫌いだけどね……」 キラキラと舞う氷の破片を視界に捕らえ続け、ペンギーゴは満足そうに頷く。 満足し、新たな陶芸をしようかと思案したペンギーゴに、音声だけの通信が入った。 「……何か? ……残念……わたし……多忙」 ペンギーゴは面倒臭そうに、それを受信する。 「黙るんだぁぁぁぁぁ!! 馬鹿ペンギン、オデは何度も通信したぁ!! なんで、通信にでねぇ!?」 通信先から、火山の噴火を思わす怒声が貫いた。直ぐにその声の主が解り、ペンギーゴは顔をしかめる。 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/06(金) 03 29 01.54 ID QKVImtFz0 「なんだ……ハゲ……ゾウ……か。切るよ……」 本当に嫌なのか、渋い顔したままペンギーゴは通信を切ろうとした。 「おめぇ、おでをなめてるなぁ!? もう許さねぇ!! 絶対に丸焼きだ!! 全焼!! 全焼させてやるぞおおお!!」 それを挑発と取った声の主は、更に声を荒げ、怒涛の勢いで怒鳴りつける。 「やかましい……みみ……痛いよ」 ペンギーゴは両耳を押さ、怒声に耐えた。 「丸焼きだ!! ペンギン型のレプリロイドは、まだ燃やした事がねぇ!! 必ず燃やしてやるぞぉおおおお!!」 「うるさい……戦闘狂……。用件を……はやく……言え……」 話が進ま上に鼓膜が破れそうになるので、ペンギーゴは仕方なく用件を促した。 「ゾウの……性癖は……理解……したよ? 早く……言って……ついでに……死んで。みんな……幸せに……なる」 「お、おう!! そうだった!! ボスからの伝言が、オマエにあったんだ!!」 声は怒りから、反転。最初の用件に気付き、大声を出すのを止める。 「…………んー?」 「イレギュラーハンターが、オマエが居る基地に向かってるそうだぁ!! オデは、ボスにペンギンに警告するように言われたぁ!!」 大音量の報告と同時に、基地外部に設置された侵入者用の警報機が作動。 ――ヘリコプターが、接近しているとの表示だった。 「……おせぇ。本当に……役に立たない……ゾウ」 ペンギーゴはため息を吐き、無線の隣に設置されたマイクで基地内部に警戒するよう命を下す。 「ああん!!?? なんか言ったかぁ、おめぇ!!!!! オデを馬鹿にしたのは解ったぞぉおおおお!!」 「切る……ね……。早めに………永眠する事を……お勧めするよ。氷の価値は……お前の……体重より……重い……」 言いざま、ペンギーゴは騒音を断ち切った。 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/06(金) 04 25 14.18 ID QKVImtFz0 空高くホバリングするヘリから、次々に降下するハンター達。 中央に基地が位置する氷原に、エックス達は降り立った。 「いよいよ、か。油断一つで命が無くなる。基地のボスが、元特Aハンターだった事を忘れるなよ!」 ハンターの隊長格であるレプリロイドが、先んじて前進する。それに追随する残りのハンター。 エックスは遅れて、自分の足取りで基地へと向かった。 基地へと向かう道中。 距離にして半分という所で、隊長が待ったをかけた。 「……隊長? どうかしましたか?」 ハンターの一人が尋ねる。しかし、隊長は微動だにせず待機し続けた。 「隊長?」 「しっ! ……何か音が」 ハンターの隊長、聴覚レベルを上げ、周囲の音を拾おうとする。 「これは……?」 隊長がその〝音〟を発生させる存在に気付く前に、エックスは舌打ちして後ろに跳び退がった。 ――次の瞬間、ハンター達が固まっていた場所へ大量のエネルギー弾が強襲する。 事態に着いていけないハンターの一人が弾丸の嵐に晒され、頭部と内包した回路をばら撒きながら絶命した。 右隣のハンターも反応できずにエネルギーの直撃を受け、隣の同僚と同じ運命を辿っう。 他のハンターも、腕やら肩に着弾し、うめき声を上げながら吹き飛んだ。 「こいつら……!」 エックスの反応より若干遅れて、横手の氷壁に逃げ込んだ隊長が悔しげに呻いた。 生き残ったハンター達の視線の先には、スケートブーツと軍用のエネルギー短機関銃を装備したレプリロイド達が滑りながらこちらに迫る。 緩やかながら、精細を放つ滑りをしながら肉薄する敵はどこかユーモアを誘った。 音というのは、ブーツに備えられたエッジが氷を削る音だったのだ。 敵のスケートを、悠然と見てる必要は無い―― 手にした短機関銃を放ちながら、高速で移動するイレギュラーへ、エックスは無造作にバスターを放つ。 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/06(金) 04 32 56.34 ID QKVImtFz0 バスターは氷雪仕様レプリロイドの脚部に着弾し、もんどり打った。彼は立ち上がる事無く、続くバスターに打ち抜かれる。 お互いの間合いまで、急接近するイレギュラー。 イレギュラー達は危険も省みず、至近距離で引き金を引きまくった。大きく広がる弾幕が、エックスの目前に迫る。 エックスは横に飛んでそれを回避し、身体を宙に投げながら射撃した。 三度放たれたバスターは、イレギュラーの胸部に炸裂。後ろに吹き飛びながら爆発し、氷原を赤く染める。 二発目、三発目はその周囲にいたイレギュラーを貫き、まとめて爆散へと導いた。 その横手のイレギュラーが短機関銃を捨て、腰から肉厚のあるブレードを引き抜く。 バスターを放った体制であるエックスに接近し、手にあるブレードを横に薙いだ。 エックスは首をかしげ、それを回避。 お返しに、たたらを踏んだイレギュラーの頭部にバスターを浴びせる。メットを被った頭部が消失し、首から下が地面に倒れた。 今のが最後のイレギュラーだったらしく、他に攻撃を仕掛けてくる者は居なくなった。 「クソッ……! 基地に着く前にこれほどの被害を出すとはな」 罵声を吐く隊長の足元には、襲撃によって破壊されたハンター達が氷の上に沈んでいる。 「破損した奴も加味すると、これ以上の進撃は無謀すぎるな」 隊長は項垂れ、仲間の死体の傍に座り込んだ。 その横で震える少女のハンターは、幸運に無傷だったらしい。 前にある悲劇。――だが、エックスは仲間の死に、どこか無頓着だった。 ……シラナイ、アイテだから? AIを貫いた声に、エックスは忌々しいとばかりに頭を振り、その声を打ち消す。 「あなた方は、待機していれば良い。ボクは、基地に向かいます」 「……何だと? 正気か、エックス」 「ちょっとした私用があるんです。行っても?」 目線を上げ、少年の顔を見つめる隊長は信じられないという顔をした。 「自殺行為だ」 あまりの無謀さに笑うしかない――隊長の口元は、極限状態故か笑みに象る。 「……では、失礼」 隊長の笑みを気にせず、エックスは短く言い放って基地へと向かった。 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/06(金) 04 48 05.23 ID QKVImtFz0 「氷は……世界に……存在するもので……一番……美しい……」 ペンギーゴは私室を埋める氷を一つ一つずつ手に取り、どこか寂寥を感じる視線を送る。 「……でも……同じく……美しいものを……知ってしまった……」 小さな手に握られる氷が、突如砕けた。ダイヤモンドの破片を思わせる氷の欠片が、花火のように散る。 「それは……生きる……者の…………」 常時、暗く沈んでいるペンギーゴの顔が歪んだ。 「………死」 その顔は、VAVAなどが持つ狂気の笑み。行き着くところに行き着いてしまった、異端の笑顔。 「……だから、美しき死を美しい氷の棺で閉じ込める」 ペンギーゴの頬が上気し、青く澄んだ瞳が興奮に揺れる。 「……これが、わたしの芸術。芸術への探究心の果て……」 彼女は、両手を陽光が眩しい天井に掲げた。祈るように。――何かに、祈るように。 「これは、わたしの中にあるバグ? 狂気? 解らないけど……」 自問しながら、ペンギーゴは小首を傾げる。 「エックスの死が……私は欲しいな………」 監視カメラに映る、青く優しいレプリロイドに微笑んだ。 157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/06(金) 14 03 26.27 ID QKVImtFz0 外部と極地基地を繋ぐ巨大なゲート。 エックスは警戒もせず歩み寄り、ゲートに向けバスターを突き出した。 「大丈夫……きっと、大丈夫」 呟き、バスターに力を込めた。拡散、そして収束する光の粒子。 バスターのエネルギーは最大まで溜められ――エックスが放つ。 太陽エネルギーから作られた、強力なチャージショットはゲートに着弾。一瞬、空間全体が歪められ、射線上の全ての物を破砕させた。 巨大なゲートに巨大な風穴が開き、基地内部に侵入するルートを確保する。 エックスは一人頷き、穴から基地へと進む。 雪と同じ色をした、廊下が続く基地内部。 エックスはゆっくりと前進し、基地の中に存在するドームへ。 しかし、当然ながら、敵もエックスを只では進ませないようだ。 「ボクは、アイちゃんに用があるんです……。邪魔しないで」 不機嫌な顔をするエックスに、盾と拳銃で武装した数名のレプリロイドが立ちはだかった。 一番前に位置したイレギュラーが警告もせず、突進。 ジョーシリーズの恩恵を受けた強化盾ごとエックスに体当たりし、青いボディを吹き飛ばそうとする。 エックスは、体当たりの寸前に射撃。全てを跳ね返すはずの盾を紙のように引き裂き、イレギュラーのボディにも着弾した。 解体しながら舞うジョーを尻目に、エックスは後ろに居たイレギュラー達に疾走する。 放たれるバスター。同じく、ジョー達は太陽エネルギーに蹂躙された。 突き進みながら、銃撃するエックス。その突進を止める事が出来ずに、破壊されるイレギュラー達。 「どい、てっ!!」 盾で防御しながら、エネルギー弾を放つジョーの頭部が消失する。 消去されたジョーの後方にいたイレギュラーが壁を蹴り、エックスの死角まで飛び上がると同時に盾による殴打を放った。 鈍い風を纏った一撃はエックスの頭部に向かったが、到達する前にジョーの方が吹き飛び、身近な壁へと激突する。 エックスの鋭い回し蹴りが、それを成したのだ。 158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/06(金) 14 22 58.26 ID QKVImtFz0 「邪魔をしないで下さい!! ボクは、アイちゃんと話し合いがしたいだけなのに!」 エックスの叫びが、続いて向かってくるイレギュラーのメットにぶつかる。だが、ジョーの進行は止まらない。 意図せず、どうしてと声が漏れる。 エックスはやりきれない思いに苦悩しつつ、バスターを放ち続けた。 ――前進しながらの攻防。 どのくらい戦ったのだろうか。真っ白だった廊下は大量の弾痕と撒き散らされたオイル、そしてイレギュラーの死体で汚れていた。 隊長の私室、作戦司令室を設えたドームへ向かう長い廊下も、終わりが近づいている。 これまでに談話室や通信室、娯楽室などの軍事基地によくある設備を見かけたが、どれもエックスの興味を誘うものは無かった。 同僚と過ごした過去への残滓か――エックスの瞳には、ドームへの扉しか映らない。 回転式ハッチが付けられた、鋼鉄の扉が開かれる。 一気にひらける視界。 スケートリンク場を思わせる広さを兼ね備えた、アイシー・ペンギーゴの部屋が現れた。 「アイちゃん……?」 エックスはどこか怯えるように、彼女の名を呼んだ。 「……よくきたね」 子供のように小さくなったに見えるエックスに、暗く沈んだ声がかけられる。 だが、その声と懐かしさ、そして続いて現れたペンギーゴの姿にエックスは涙が出そうになった。 「ア、アイちゃん……ボクね」 滲み出た涙を気丈に拳で拭き、エックスは自分の目的を伝えようとした。 「……良い……手際だけど……それは……ここまで」 駆け寄るエックスをペンギーゴの言葉が打ち抜く。 エックスはギョッとした表情をし、歩むのを止めざるおえなかった。 「ア、イ……ちゃ……ん」 「この基地を……やすやすと……あけわたす……わけには………いかないよ?」 『元第13極地部隊所属特A級ハンター、アイシー・ペンギーゴを確認』 160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/06(金) 14 42 35.92 ID QKVImtFz0 「えーと……な、なんて、呼べばいいかな?」 「…………は?」 「な、名前だよ、名前」 「言ってる……意味が……いっさい……解らない……」 「だ、だって仲間でしょ? その、あの、仲良く……したい……したくないかな?」 「メンテ……受けたら? AIに……問題が……あるよ…………」 「…………どうして?」 「……ど、どうしてって、危なかったからだよ。あんな砲火の下で、無茶な……」 「かばう……意味が……解らない……わたし……寒冷地用。――装甲……おまえより……分厚いよ?」 「うぅー、解ってたけどさぁ……」 「だったら……なんで……」 「気付いたら、飛び出してたの!! 女の子が、もう無茶な事しないで! うぅー」 「おん……な……の……こ?」 「おい…………なまえ……なんとでも……よべ」 「名前? あ、あぁ……。え!? ほんとに!?」 「…………お好きに」 「嬉しいな。んー……じゃぁ、ペンちゃん? 可愛くないかな?」 「…………死んで……しまえ……」 「ご、ごめんなさい!! えー、えー、えっと、えっと、何だろ。あ、あ、あ……アイちゃん。アイちゃんはどうかな?」 「理由……のべて……」 「り、理由!? えー、えーと、アイシーを略した……から?」 「…………略す……意味が……解らない。…………処刑」 「ごめんなさい!! ごめんなさい!! え、えっとね、えー、えーと。あ、愛らしいから?」 「……………………」 「す、すいません。 ご、ごめんなさい……ほんとにごめんね?」 「馬鹿…でしょ?……お前……。でも……でも……うん」 「……どうも……エックス」 167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/06(金) 15 47 30.77 ID QKVImtFz0 「アイちゃん……ボクは戦いに来たんじゃない!」 『無線の回路が故障していました。自動修復により、現在から使用可能』 私室の壇上に仁王立ちするペンギーゴが、ドームに降り立つ。 エックスは悲痛な声を上げながらも、身構えた。 暗く幼い少女の顔を覆うように、ペンギーゴのメットが下がる。 『アイシー・ペンギーゴの武装データが不十分です。氷塊を射出による遠距離攻撃が判明していますが、他は不明です』 「やめて! アイちゃん!!」 『様々な状況に対応できるよう、注意を怠らないで下さい』 エックスは叫ぶ。 そして、奇妙な音ともに氷の塊を打ち出された。 エックスは慌てて身を捻り、寸前で回避。 今しがた居た場所が、ショットガンアイスによって抉り取られる。 更にエックスは地に飛び込む形で横転して、続く氷塊を避ける。 ただの氷だが、亜音速に匹敵するスピード射出されれば、その存在は脅威だ。 避けつつも、一度立ち上がり、エックスは近くにあったドームの支柱を確認した。 頭の脇を凄まじい音を立てて氷が通過するのを無視し、支柱に逃げ込み、背にした。 「く………っ!! アイちゃん!!」 柱から少しだけ顔を出し、射撃するのを止めないペンギーゴを伺う。 直ぐに頭をひっこめるエックス。次の瞬間、支柱の端が砕け散った。 「どうして、ボク達が戦うのさ!?」 支柱から飛び出し、ドームを駆けるエックス。無論、戦術的に有利なポジションを探すのではなく、回避に専念してるだけだ。 走るエックスの足元を追うように、ショットガンアイスが列を成して炸裂する。 169 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/06(金) 16 08 57.36 ID QKVImtFz0 「どうしてなんだ! どうしてこんな事に!!」 エックスは真正面にある壁を蹴り、高みへと逃走。 だが、壁を蹴る動作が唐突に止まった。 エックスの頭上、ドームの天井に一抱えほどの胴回りを持つ氷柱が屹立している事に気付いたからだ。 ペンギーゴのメットから除く口元が笑みを浮かべる。 そして、彼女は地面を力いっぱい踏みしめた。 ドーム全体に響き渡る轟音。 まるでシャンデリアのような氷柱が、エックスに向かって死の抱擁をしてきた。 逃げ切れず巻き込まれ、氷柱と仲良く地面に叩きつけられた。 重量と衝撃に呻くエックス。それでも、身体に鞭打ち、立ち上がろうとする。 頑張りを賞賛したのは、宝石のような氷塊。立ち上がるエックスの腹部にぶち当たり、慣性の法則にしたがって壁へと吹き飛んだ。 『様々―状―況に対応―き―よう、注―を怠らな―で下―さい』 今ので無線が壊れたのか、咎めるような警告は途切れ途切れに受信された。 「ア、イ………ちゃん」 「戦わなきゃ…………死ぬよ? 良いの………?」 ペンギーゴが質問しながらも、ショットガンアイスを放つ。 エックスの目前に炸裂。外したと思いきや、着弾の瞬間に氷塊が爆散。散弾銃の要領で、5つ氷の破片がエックスに突き刺さった。 「どうして……さ……」 血まみれのエックスは掠れる声で、疑問を搾り出す。 「見て………エックス……」 それを答えるべく、ペンギーゴは地面をまた踏みしめた。 轟音。 しかし、今度は氷柱ではなく、ドーム中央に巨大な氷の塊が地面から突き出る。 「わたしの………芸術……」 見上げるエックス。 少年は、記念碑もしくは棺桶のような巨大な氷塊を見る。 173 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/06(金) 16 38 50.26 ID QKVImtFz0 「………………あ」 氷の墓石には、第13極地部隊の面々が封じ込められていた。 『生体―能は確認―きません。全―すでに―機能―止し―いま―』 「………………綺麗でしょ」 更に目を凝らすと、エックスと共に来たハンター達までもが氷墓の死者として眠っていた。 「待機して……たん……じゃ……なかったの?」 「エックスの……仲間……? エックスが……来るまで……暇……だったから。――だから……ね」 悪びれるふうも無く、ペンギーゴは淡々と告げた。 死者には、あの少女のハンターも含まれていた。 エックスはそれを見て、彼女の死よりもペンギーゴが、それを成した事が信じれなかった。 「こんな酷い事をするなんて……! アイちゃんじゃないよ!!」 「……そう……だね」 意外にも、エックスの言葉にペンギーゴは同意した。 「でも…………ね。エックスが………知ってるの……は……昔の………わたし」 ペンギーゴはエックスの襟首を掴むと、氷塊の墓石まで引きずる。 「今の………わたしは………エックスの………しらない………わたし」 自嘲するように呟き、倒れ伏すエックスの顔の前にしゃがみ込むと、自分の顔を近づけた。 「三年は…………長い………ね」 メットを引き上げた、ペンギーゴの瞳には暗く冷たい絶望が揺らめいていた。 「アイ……ちゃん?」 「…………生物の死が美しいなんて、知りたくなかった」 唐突に、ポツリと、本当に小さくポツリと呟いた。 「エックスと………会えなかった……三年間……」 呟きから、声色はどろどろとしたヘドロのように絡みつく声となる。 「薄汚い………腐臭のする……三年間……教えてあげる……」 174 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/06(金) 16 42 15.51 ID QKVImtFz0 ――辞令。唐突に、本部でのハンター作業からわたしは北極にある極地基地に異動された。 見送りにきたエックスが泣いていたのがいじらしい。変な子だけど、良い子だ。 「なんだ、このふざけたチビは」 「隊長、昨日着任した特Aハンターのアイシー・ペンギーゴであります」 「それで、このペンギンさんがこの基地に何の用なのだ」 「本部からの辞令だそうです。なんでも寒冷地用のレプリロイドである事から、我が基地の部隊で訓練するようにと」 「訓練? 特Aを? …………本部はいったい何を考えているんだ」 いつだって、わたしは馬鹿にされる。この身体の事。どうして、こうも意地悪されなきゃならないんだろうか。 「まぁ、我が部隊に入ったからには、私の指示は絶対服従だ。解ったな? ちゃぁんと訓練してやる」 下卑た顔。男はみんな意地悪だ。 ……でも男の子なのに優しいエックス。訓練が早く終わって、また会えないかな。 「役にたたねぇなぁ、このチビは」「もっとはっきり喋れ」「糞ペンギンが」「いい加減にしろ!」 「おまえ本当に特Aか? 役に立たないし、暗いし、チビ。俺がお前だったら死んじゃうね」 辛い。とても辛い。 頑張れると思ったのに、もう挫けそう……激しい訓練はもう嫌だ。彫刻の時間が欲しいな。 寒い。北極だからなんだろうけど。寒冷地用とはいえ、ここは寒いね。 心も…………寒いよ。 「なんだこの査定評価は。我が軍の中で最悪じゃないか」 「隊長、訓練Σを行ったほうが宜しいかと進言いたします」 「確かにな……よし、ペンギーゴ君。今日から訓練プログラムを変更、試験的な訓練に入ってもらう」 なに……を? 179 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/06(金) 16 51 53.24 ID QKVImtFz0 「よし、ペンギーゴ君。今から私の言う事を良く聞くんだよ」 何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を? 何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を?何を? 何をするつもりだ……? 「………もう………やめて……ください……」 犯された。穢された。汚された。 氷とはかけ離れた、汚い存在に。薄汚く、他人を卑下する事しか出来ない存在に。 「今度は多人数での訓練を開始する」 ………わたしも薄汚いのか。 「いや………もう…………やだよ……」 頭の中の光景。私が好きだった氷が砕ける。私が好きだった彼が遠ざかる。 「自分で求める訓練も追加しよう」 ――あ、あ、あ……アイちゃん。アイちゃんはどうかな? ――え、えっとね、えー、えーと。あ、愛らしいから? 「………はい………どうか……」 ………………………………………………………わたしも薄汚いんだな。 「ごめんね…………エックス………」 185 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/06(金) 17 10 41.95 ID QKVImtFz0 ドロドロした白い粘液に包まれたわたし。 「……………いたい……」 ぬぐうのも億劫だ。いまさらだが、どうしてこんな貧相な身体を犯したのだろう。 「……貴様、こんな事をして……ただで済むとでも…おもっているのか」 ドーム状の作戦会議室で訓練――ただの輪姦だ。そのドームでわたしは中央に寝そべっている。 周りを見渡せば、剣山のように立ち並ぶ私の芸術。 何が起こったのか知らないけど、私は一瞬にして部隊を壊滅させたらしい。 「…………ひにく…………だね」 わたしが泣き叫ぶのが好きな、薄汚い連中。 だが、こうやって氷に詰め込むと、不思議とアート感が感じられた。 恐怖におののく最期の顔が、氷の表面で乱反射して、とっても綺麗。 「ペンギーゴォ……よくも………殺して、殺してやるからな。この私のこの屈辱……全て、お前に還してや――」 隊長はみなまで言う前に死んだ。その背中にビームブレイドが突き立っている。 「本部め………馬鹿な事を」 ブレイドが引き抜かれた。引き抜いた人物がわたしの前に立つ。 緑のボディスーツを着たレプリロイド……流れるような綺麗な金髪の女性だ。顔にペイントが施されてるのが印象的。 「……………………だれ?」 「全ての存在は、私の前で終わるのが定め。そういった存在だ」 普段なら、憎まれ口をたたくのだけど、このレプリロイドは何か不思議な感じがした。 懐かしい………? 189 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/06(金) 17 30 16.84 ID QKVImtFz0 「汚いものだろう? 醜いものだろう? 人間というやつは」 「…………レプリロイドも汚い……」 左にある氷柱――わたしを孕ませたいと言った、スクラップを見つめ吐き捨てた。 「レプリロイドのプログラムを設定したのは人間だ」 「…………だろう………ね。じゃあ……わたしもあんたも汚い……ことになる」 わたしは、どうやったってすでに薄汚いが。 「私はある計画を考えている。私は、レプリロイドだけの世界を作り上げたい」 そういって、緑のレプリロイドは言った。 「手を取りたまえ」 無骨だが、女性らしさもみえる腕をわたしに差し出した。 「お前は戻れるのか? 幸せだった頃に」 戻れないのだろう……。エックスに思いをよせたという、性格が暗いわたしに芽生えた淡い気持ち。 それは、人間等によって理由もなく散らされた。 「美しいものに向き合えるか?」 向き合えないのだろう……。わたしが好きだった氷。 あまりに美しくて、眩しくて、薄汚いわたしには向き合える勇気は無い。もう作品は完成させる事は出来ないのだろう。 「――復讐しよう。私達は、人間の道具、ましてや慰み者なのでは断じて無い」 復讐。 「もっとも、新世界が完成してもお前の心は晴れる事は無いのだろう。ならば、せめて――」 復讐。 「異端になれ」 198 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/06(金) 18 10 41.43 ID QKVImtFz0 「…わたしは………イレギュラー。常軌を………逸脱した……存在」 「あ………あ……あ……」 自分の知らないアイシー・ペンギーゴを作り上げた過去。 考え付かない、想像超えた最低の過去の吐露にエックスは吐き気を催した。 「戦おう……エックス。それ………しか……選択肢は……ないよ?」 「や、やだよ……」 ペンギーゴの周囲で白き冷気が回転し、凄まじい対流を起こす。 「エックスの事………好きだった…………ずっと……名前を呼んで……くれた時から」 『危険です。室内温度急低下しています。状況から判断――敵は銃口無しで氷塊を扱えると推測』 ドーム全体に氷塊が浮かぶ。多角的な射撃を可能にする事ができるイレギュラーが思いを告げた。 「…………アイちゃん……帰ろう? 一緒に帰ろう? 今度は必ず守ってあげる。ずっと傍で守ってあげる」 エックスはすがるように、傷だらけの両腕をペンギーゴに差し出した。 ペンギーゴはその腕を見つめ、泣きそうになりながらも首を横に振る。 エックスの普通な願いは、異端な思いに否定された。 「わたしは…………戻れない」 ――アイちゃんはどうかな? 「…………あ………アイちゃん……」 ――試験的な訓練に入ってもらう 「…………もう、戻れない!!」 ――あ、愛らしいから? 薄汚いこの世に『愛』なんてあるのだろうか? 「お前に……アイと………呼ばれる資格は―――無いんだ!!」 208 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/06(金) 19 13 51.41 ID QKVImtFz0 ペンギーゴの叫び。 それに呼応し、ドームに浮かぶ氷塊が次々に発射される。 鈍い音を立て。全てがエックスに着弾した。 『――ロック』 真っ黒な闇に声がする。夢なのか現実なのか。 『ロック――本当に良いの? これで本当に良いの?』 漆黒の中でエックスは頭を抱えた。 『あの娘をたすけてあげなくて、本当に良いの?』 エックスは逃げ出したくなった。どこにも出口が無いのは自分が一番解ってるいるのに。 『声を――あの娘の本当の声を聞いてあげて』 「………声?」 『ロックなら出来るよ、限りなく人間に近い心を持ったロックなら』 その声を聞き、エックスは意識を『何か』に集中した。 「これしか………答えが無いの?」 どのぐらい時間が経ったのか、妙な感覚がエックスを捉え。エックスは『本当の声』を知る。 『――それでしか、救えないんだよ』 <プログラム変更> 氷塊が山のように積まれたエックスの墓標。 その隙間から光の帯が溢れ出る。 「…………………何」 そして墓標は、莫大なエネルギーを持つ光に耐え切れず塵となった。 そこから、ふわりと舞い降りる青いボディのレプリロイド。 『<闘争心>と<慈愛心>のプログラムを抑止。<怒り>と<憎しみ>のプログラムを解除した』 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 14 25 30.48 ID aICqBPyB0 見知らぬ声が、無線から聞こえるがエックスは気にならない。 視線の先には、驚愕し硬直するペンギーゴの姿。 ――こんなのは、駄目。お願いエックス、私を止めて。 「アイちゃんの本当の声……」 数字やプログラムでは言い表す事のできない、何か。 限りなく不幸な事象を解決する、答え。 不幸が呼んだ悲しい異端の束縛からへの、救い。 エックスはバスターを、友人であったモノに向けた。 「あなたはアイちゃんなんかじゃない。あなたは――イレギュラーだ!!」 その言葉に、ペンギーゴがホッとしたように微笑んだ気がするのはエックスの感傷か。 それを考える暇は無い。 連続して、巨大になったショットガンアイスが打ち出された。 エックスは落ち着いて氷塊を撃ち抜き、氷を地へと還す。 ばらまかれる氷の破片を弾幕に、今度は槍の様な氷柱がペンギーゴから吐き出された。 白い帳を引き裂くようにして急接近する凶器。 「ペンギーゴ!!」 エックスは一声吼えるやいなや、氷柱をバスター自身ではたき落とす。 そして、ペンギーゴに数秒ほどチャージしたショットを放った。 球ではなく、楕円の形をしたエネルギー弾が小柄なボディに迫る。 ペンギーゴのボディは、その用途から愚鈍な設計にせざるおえない仕様になっている。 まさに光速のショットに、真正面から直撃を受けてしまった。 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 14 26 36.80 ID aICqBPyB0 胸に穴が空き、苦鳴をもらしながらもペンギーゴは地面を踏みしめる。 轟音。 「……………これで…………どうだ」 ペンギーゴを中心に、氷柱が次々に唸りをあげて屹立する。 エックスは針の床が完成する前に飛び上がり、バスターをがむしゃらに連射した。 真下付近に着弾する大量のエネルギー弾。 視界が消失するほど、小爆発が連続して起こり、氷柱はおろかドームの床まで陥没してみせた。 「…………やる…………ね」 ペンギーゴは着地するエックスに向け、ショットガンアイスを打ち出した。 忙しなく、横に跳ぶエックス。そして迫る氷塊に向け、光弾を発射。 両者がぶつかり、またも爆発。 しかし、ショットガンアイスは砕けるだけではない。5つに分散し、なおもエックスに氷の牙を剥いた。 ――打ち落とせる筈のエックスは牙が刺さるのを無視し、右腕のバスターをチャージした。 光の収束が点滅するほどアームに集まる。チャージは限界に達した。 そして、驚くペンギーゴに向けチャージショットを放つ。 ペンギーゴは慌てて、ペンギンを模した氷の盾を目前に作り出した。 ドームを揺らす大爆発。 定着していた氷柱が落下し、地面で四散する。 氷の墓場が爆発の余波を受け、破片を撒き散らしながら倒壊した。 目がくらむ光が収まり、視界が戻る。 出現する二人のレプリロイドの姿。 エックスはバスターを撃ち放った体勢で。 ペンギーゴは右肩を失い、膝を付く体勢で。 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 14 39 47.90 ID aICqBPyB0 「さすがハンター。……でも、勝負はついたよ?」 紫電を漏出する右肩を抑えながら、未だ闘志を燃やすペンギーゴの瞳を見て、エックスは言う。 「……まだだ。わたしの……悪夢は――」 同僚のVAVAと同じ狂笑を見せるペンギーゴ。 ――わたしを止めて。 「そう……」 エックスは顔色を変えず、バスターを再チャージした。 太陽の光が、エックスのアームに集まる。 「なにが……悪かったのか……」 バスターが光を吸収し、腕が唸りをあげる。 「どこで……間違ったのか……」 エックスは険しい顔を。ペンギーゴは微笑んで。 「もう……わからない……」 エックスは無表情に。ペンギーゴは悲しげに。 「エックス……あなたを……破壊……しようと……した……時点で……」 バスターに集まる光が点滅しだし、限界までチャージした事を告げる。 「わたしは……壊れていたのだろう……」 ――チャージショットは放たれた。 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 15 04 17.41 ID aICqBPyB0 『アイシー・ペンギーゴ、戦闘不能』 オペレーターの声を無視し、エックスは駆け出す。 最大までチャージされたショットはドームの壁すらも砕き、氷原への道を作り出していた。 「アイちゃん………!」 氷の草原まで投げ出されたペンギーゴに、駆け寄るエックス。 左右の小さな脚が無残にもがれ、腹部に巨大な口腔が開き、赤い臓腑を吐き出して貫通していた。 「……エ……エック……ス……」 半壊したメットの下で、ペンギーゴの幼い顔がエックスの名を呼んだ。 「……あ………あ……り…あり……がとう……」 唇が放ったのは、礼だった。 「どんな……ことが……あっても……エックスと……戦う……つもり……なんて……」 これも小さな瞳に涙を溜めて、ペンギーゴは呟いた。 「アイちゃん!」 エックスが耐え切れず叫ぶ。 「なんで……かな……」 「やだぁ……やだよぉ……アイちゃん!!」 首を何度も振り、エックスは駄々をこねるように叫び続ける。 「ただ……わたし……エックス……と……」 「アイちゃん!? やだ……! ねぇ、アイちゃん!!」 ブルーの瞳には曇りをおび、損傷部分の紫電や火花も小さくなっていった。 「エックス………ごめん……ね……? ごめん……」 「アイちゃん!!」 瞳から一筋だけ涙がこぼれるのを境に、ペンギーゴは全ての動作を停止する。 『アイシー・ペンギーゴ撃破。お疲れ様です』 ペンギーゴの身体から〝小さなチップ〟が落ち、極地基地での戦闘は終結した。
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【スタイル名】 ブラザースタイル 【読み方】 ぶらざーすたいる 【分類】 スタイルチェンジ 【登場作品】 『2』『3』 【詳細】 チェンジ.batをロックマンに組み込んだことで発現したスタイルの一つ。 ナビチップを多用することでこのスタイルに変化する。 見た目の大きな変化はないが、ヘルメットの突起が特徴と言える。 『2』ではナビチップの投入制限が「5枚から8枚」に増加する点が最大の特徴となる。 攻撃力の高いナビチップを多く積むことで高い攻撃力を発揮する。 ナビチップを6枚以上入れたフォルダを使用している間は、スタイルの変更や解除が不可能になる。 『3』ではチップの概念が見直されナビチップがメガクラス扱いとなったことから、ナビチップではなくメガクラスチップを多く積める効果になった。 また、予備フォルダの導入により限界を越えたフォルダ設定をしていてもスタイルの変更が可能になった(自動で予備フォルダに切り替わる) 常時メガクラスチップを一枚多くフォルダに入れることができ、ナビカスプログラムでメガフォルダ系プログラムを組み込むことで、さらに多くのメガクラスチップをフォルダに積める。 ナビチップに限れば積める枚数は減ったが、メガクラスはナビチップ以外にも強力な性能を持つものが多いので、高い攻撃力を発揮できる点は変わらない。 ガッツスタイルがロックマンの攻撃力を強化するものなら、このスタイルはフォルダの攻撃力を強化するスタイルと言えるだろう。 また、『3』ではこのスタイルの状態でナビのV3を20秒以内かつバスティングレベルSでデリートすると、そのナビのV4チップが手に入る。(ゼニーの場合もある) ミストマンおよびボウルマンのV4だけはバグピーストレーダーにも入ってないので、ブラザースタイルでしか入手する方法がない。 コンプリートを目指すなら、必ず1度はブラザースタイルにならなければならない。 「ナビチップを扱う」という能力を他メディアでは再現するのが大変なためか、後述のように作品ごとに特徴が大きく異なっている。 アニメ版 無印にて登場。ブラザースタイルとしてはエレキブラザーのみ登場。 第31話「華麗なるカレーバトル!」にて初発現。 当時有線であったPETのプラグイン端子に「エクステンションチップ」という専用のチップを取り付け、それをスロットインすることで、接続元のナビと合体することで固有能力を使用している(スロットイン先がロックマン側のPET、チップの方が合体するナビ側のPET)。 例を挙げると、初登場話ではアイスマンとの合体で氷能力を得ていた。 別のナビがいるPETから自分のPETにデータを輸送するという点では、最終作『BEAST+』に登場した「クロスビースト」とよく似ている。 漫画版 あさだみほ版 空間上に現れるロックマンのナビマークがワープホールの性質を持ち、それを通じての連係プレイを行うことが可能(ロックマンが右腕をナビマークに入れる瞬間、ガッツマンの右腕もナビマークに入ることで「ガッツマンの腕を用いて殴る=ガッツパンチ」など)。 鷹岬版 ロックマンの記憶に存在するナビを亡霊ナビのように再現して召喚するというシンプルな性質を持っており、これが一番分かりやすい。 他の3スタイル同様に敵として登場しているため、ロックマンが自身の記憶するナビ(シャークマン、ブルース、ロールなど)に攻撃されるという構図になっていた。 再現度が意地悪に高いらしく、ロールには一瞬気を許し、そこへ「大嫌いよ!」攻撃でニセモノ再確認であった。(2のゴスペル戦前じゃあるまいし…)
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いんでねー -- (スッパマン) 2010-06-30 00 32 52